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J-Physics理論討論会

  • 2016年6月4日(土)13:30 〜 6月5日(日)16:00
  • 場所:明治大学 駿河台キャンパス リバティタワー

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理論討論会 開催報告

明治大学理工学部・准教授 楠瀬博明(計画研究C01)

2016年6月4日、5日の両日、理論グループの研究会を明治大学駿河台キャンパスで行った。本新学術領域に関係する計画研究と公募研究の理論研究者が一同に集い、ブレーンストーミング的な討論により、理論研究の現状について認識を共有するとともに概念の整理や問題点の洗い出しを行い、今後の展望を見据えることがおもな目的である。

初日は、これまでの多極子研究の成果のレビュー、多極子概念の拡張の方向性と課題、局在系と遍歴系の理論の橋渡しに必要な表現法の整理について、活発な議論が行われた。また、拡張多極子、ネマティック、ベリー位相、トポロジー、結晶の対称性といった様々な視点から問題を掘り下げることで、一見複雑に見える現象の要所を押さえた見方について、各自なりの手応えがあったのではないかと思う。熱ホール効果やナノ系のマルチフェロイクスといった視点の研究紹介もあり、理論研究にさらなる拡がりを期待させるものであった。

2日目は、伝導系とくに超伝導を念頭に、多自由度の役割に着目した第一原理電子状態計算ベースの多体効果への拡張の理論研究の現状と課題が議論された。各研究者独自のノウハウが着実に蓄積されており、相互交流を一層進めることで、諸外国を凌駕する堅実でオリジナリティのある多体電子状態計算手法が大きく開花する息吹が感じられた。超伝導の秩序変数についても、群論とトポロジカル不変量を両輪とする整理法が整いつつあり、UPt3の多重相に代表される風変わりな超伝導の理解が格段に進むことを予感させた。

今回の理論討論会には、実験研究者を代表して、網塚、野原、青木、井澤の各氏に参加していただき、普段あまり触れることのない理論研究の舞台裏を体験して頂いた。さらに、実験研究のトピックスをご紹介いただいた他、実験研究者の立場から夢想の世界に迷い込みがちな理論研究者へ率直な提案・要望を行っていただいた。実験と理論の大変有意義な意思疎通が図れたように思う。実験と理論の間で、お互いの現場の雰囲気が感じられる意思疎通の機会を、もう少し大きな規模で若手を中心にして行うことが今後の展開に決定的に重要であろう。

研究会は自由闊達な雰囲気の中で終始活発な議論が行われ、「討論会」に相応しい会合になったのではないだろうか。本研究会で蒔かれた種が、領域全体に拡散して良い影響をもたらすことを期待する。

理論討論会プログラム

6月4日(土)

拡張多極子1

13:30 - 13:40 楠瀬 博明 明大理工 はじめに
13:40 - 14:10 野原 実  岡山大基礎研 強相関多極子物質の開発 ー 理論への期待 ー
14:10 - 14:40 椎名 亮輔 琉球大理 スクッテルダイト系にみる軌道依存型混成と多極子状態
14:40 - 15:10 楠瀬 博明 明大理工 拡張多極子と非対称スピン軌道相互作用
15:10 - 15:40 鈴木 通人 理研 拡張多極子による電気的・磁気的秩序の表現について

拡張多極子2

16:00 - 16:30 坂井 徹  兵庫県立大物質理 スピン・ネマティック相の話題
16:30 - 17:00 古賀 幹人 静岡大教育 多極子伝導系から多重量子ドット系へ ー 近藤効果研究の新展開 ー
17:00 - 17:30 森 道康  原子力機構先端研 フォノンホール効果の起源
17:30 - 18:00 播磨 尚朝 神戸大理 パリティ対称性の破れた結晶構造とジグザグ構造の電子状態について

6月5日(日)

多極子伝導1

10:00 - 10:40 青木 大  東北大金研, CEA-Grenoble アクチノイド化合物の最近の研究
10:40 - 11:10 池田 浩章 立命館理工 遍歴多極子と多極子超伝導体
11:10 - 11:40 大槻 純也 東北大理 DFT+DMFT+長距離相関効果の展望

多極子伝導2

14:00 - 14:40 服部 一匡 首都大理 多軌道系における超伝導秩序変数の分類とその応用
14:40 - 15:20 柳瀬 陽一 京大理 非共型空間群に属する系における超伝導
15:20 - 15:50 御領 潤  弘前大理工 カイラリティ・ヘリシティ・ベリー位相とJPhysics
15:50 - 16:00 播磨 尚朝 神戸大理 おわりに

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